和田研究室とは?
研究内容
和田研究室では無線通信に対応したフィルタをはじめとする高周波受動回路に関係する研究をしています。近年、スマートフォン、無線LAN、Bluetoothなどが急速に普及してきており、我々の日常生活に欠かせない物となっています。スマートフォンなどで正確に通信するためにはさまざまな電波から特定の信号のみを受信する必要があります。フィルタはこれらの技術に用いられています。

さまざまな技術に応用できるフィルタですが他の回路に比べて大きいため小型化が求められていたり、フィルタ機能をより単純な構造で実現したりとさまざまな課題があります。このように和田研究室ではフィルタを軸として、近年の無線通信システムの急速な発展に対応した実用的な高周波受動回路について研究しています。
研究の流れ

和田研究室ではまず勉強会で研究のための基礎的な知識を優しい先輩たちが教えてくれます。次に学術論文および流行の調査し、先生や先輩との相談により各自の研究テーマが決定します。研究では主に回路シミュレータおよび電磁界シミュレータを用いて回路の設計や実験などを行います。まず設計したモデルのシミュレーションを行い、解析の結果から必要とする特性が得られたかを確認します。必要とする特性が得られたことを確認した後は実際にその回路を試作、測定し評価します。最後に研究の内容をまとめ、資料を作成し、学内外で発表するのが大まかな研究の流れになっています。
研究紹介
研究テーマの例として、バンドパスフィルタ (BPF) とダイプレクサを紹介します。またチップレスRFIDタグに関する研究についての資料を紹介します。
バンドパスフィルタ (BPF)
BPFとは、特定の周波数帯における信号を抽出する機構です。低い周波数帯ではコイルやコンデンサを用いて構成されます。また、高い周波数帯においては、マイクロストリップ線路などの分布定数線路を用いて構成されます。 研究室では、非常に広い範囲での周波数信号を抽出するBPFを研究しています。この広帯域BPFは、さらに高い周波数において広帯域特性得られるため、水蒸気ラジオメータなどへの利用が期待されます。


参考資料
石村, 和田, 川口, “リング共振器とインタディジタル結合を用いた21GHz帯広帯域マイクロストリップ線路バンドパスフィルタに関する検討,” 信学技報, Vol.122, No.360, pp.163-167, Jan. 2023.
ダイプレクサ
ダイプレクサとは1つのポートから入力された信号を2つに分離する複数のフィルタで構成される回路です。 研究室では、ダイプレクサだけではなく、より広帯域で3つの信号を扱えるトリプレクサの研究にも取り組んでいます。 以下は2つの通過帯域において比帯域を40%以上とする差動広帯域ダイプレクサを設計した例です。 現在までで2つの通過帯域において比帯域幅が40%以上となる作動ダイプレクサを設計しました。


参考資料
佐藤, 和田, “DSPSL構造とリング共振器による広帯域通過特性を有する差動フィルタを用いたダイプレクサに関する一検討,” 第37回エレクトロニクス実装学会春季講演会大会, 2023年3月.
チップレスRFIDタグ
RFIDタグには、種類としてICチップ付きとICチップがついていないタイプがあります。和田研究室では、ICチップがついていないチップレスRFIDタグについて、フィルタの研究で培った共振器の基本特性をたくみに利用した設計を行い実験を行っています。以下の資料にあるように具体的にはNFCタイプのチップレスRFIDタグRFIDタグについて検討を行っています。
現在の研究成果の一部は、KEIRINの機械振興補助事業 (詳細はこちら) により行われてきました。
参考資料
2018年度JKA機械振興補助事業 耐環境性、秘匿性に優れた小型・低価格化RFIDタグシステムの研究開発